私は新聞が大好きです。
新聞販売業を営んでいるので、新聞を毎日12紙ほど読んでいます。読んでいる新聞は、信濃毎日新聞・中日新聞・毎日新聞・読売新聞・朝日新聞・産経新聞・南信州新聞・日本経済新聞・日経MJ・日本農業新聞など。時間がある時は、それに加えてこども新聞やスポーツ新聞にも目を通します。
ただ、今の時代、新聞はいわゆる「オールドメディア」の代表格。特に若い世代には敬遠されがちです。でも、新聞も読み方次第では「ニューメディア」にはできない情報活用ができます。そこから新しい視野を獲得することも可能です。今日はそんな私の新聞活用術をご紹介します。
1、情報収集を「体験化」する
私の趣味は新聞のスクラップです。毎朝、新聞を隅から隅まで熟読し「ハッ」とした気づきや「グッ」ときた感動の記事を地味にコツコツと収集しています。
現在は新聞もデジタル化し、記事の保存も簡単です。でも、私は新聞を「触る」「切り取る」「貼り付ける」という行為を通して、情報収集を「体験化」しています。人間は自らの身体を通して体験したことは簡単には忘れません。自分の身体を通して蓄積していった情報が積み重なり、いつか「堆肥」のように発酵して「体験知」として活用されるのだと思います。ちなみに、私はスクラップを始めて今年で15年目。スクラップブックも今ではダンボール4箱分になりました。
2、新聞を多読するには「目」より「手」を動かす
新聞を毎日読むのは結構大変です。例えば、ジャーナリストの池上彰さんの著書「新聞勉強術」によると、朝刊の文字数はおよそ20万字。情報量は新書2冊分に相当すると言われています。私の場合、12紙の新聞を読んでいるので、文字数は一日あたりに換算すると240万字。新書24冊分の情報量に相当します。それでも私は12紙の新聞を15年間読み続けることができました。
新聞を多読するにはコツがあります。それは文字を目で追うのではなく、紙面を手でめくることに集中するのです。まるでジョギングをするように軽快に、一定のリズムでページをめくっていくだけでいいのです。新聞には「一覧性」という利点があります。「見出し」や「リード」など基本的な紙面構成さえ理解していれば、自分にとって必要な情報は効率よく目に飛び込んできます。スマホのようにスクロールする必要はありませんし、何より目が疲れません。実は新聞は効率良く多くの情報を得るのに便利なメディアなのです。
3、新聞の特長は「セレンディピティ」にある
新聞というメディアの最大の特長は紙面を開くことで、今まで自分が興味無かった分野の情報に出会えることです。人間は皆、自分の情報バイアスの「枠」の中で生活しています。しかし、自分を成長させるためには新しい視点や考え方が必要であり、そのためには自分の情報バイアスの「枠」の外に出なければなりません。意味のある偶然の出会いを「セレンディピティ」といいますが、新聞は自分自身の情報バイアスという「枠」を超える出会いを提供してくれるメディアなのです。
新聞というメディアは情報技術の発達やAIが隆盛な今だからこそ、活用の仕方次第では様々な可能性を秘めています。また機会があればその辺りもお伝えできればと思います。
(文責・ふくしま新聞店 福島達也)