私は17年前に中国で留学していました。
新聞が好きな私は留学先の大学でも、よく日本の新聞を読んでいました。
当時の新聞は船便で届いていたので、二週間のタイムラグが生じます。つまり、古い情報の新聞でした。それでも、毎回日本の新聞が届くのが待ち遠しくて、届いたら貪るように読んでいました。
もちろん、中国でも日本の情報はネットニュースで読むことができました。でも、新聞には新聞の良さがあります。この新聞は日本から長旅を終えて、ここにたどり着いたと思うと、なんだか愛おしい気持ちになりました。新聞から故郷である日本の温もりを感じたのです。それは不思議な感覚でした。
さて、もうすぐお盆です。しかし、コロナ禍で、進学や就職で地元を離れた方は思うように帰郷できないかもしれません。
そのような状況で、昨年は信濃毎日新聞のある取り組みが話題になりました。お盆休みにコロナ禍で帰郷できない方に向けて、紙面上でスマホのAR機能で、諏訪湖の花火大会を再現したのです。この取り組みは全国的に取り上げられ、好評でした。遠方に住んでいても故郷を身近に感じてもらいたい。そんな願いが込められているのだと感じました。
新聞には情報だけでなく、人の温もりを伝える力があると思うのです。故郷のお父さん、お母さん。今年のお盆は帰郷できない子供さんに地元の新聞を送ってみてはいかがでしょうか。
(文責・ふくしま新聞店 福島達也)